身体拘束等の適正化のための指針

1.株式会社スローステップにおける身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
  身体拘束は、利用者の意思に関係なく生活の自由を制限し、その方の能力や権利を侵害するおそれがある行為です。株式会社スローステップ(スローステップ居宅介護支援事業所蓮根、スローステップケアセンター、スローステップ福祉用具事業所蓮根)では、利用者の尊厳と主体性を尊重し、身体拘束を安易に正当化することなく、すべての職員が身体的・精神的弊害を理解し、身体拘束廃止に向けた意識を持ち、身体拘束をしないケアの実施に努めます。

(1) 基準省令における身体拘束禁止規定
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第三十五条の二(身体拘束の禁止)
指定居宅介護事業者は、指定居宅介護の提供に当たっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を行ってはならない。
 
(2) 身体拘束等の原則禁止
当法人の事業所においては、原則として身体拘束およびその他の行動制限を禁止する。

(3) 身体拘束に該当する行為
・車いすやベッド等に縛り付ける。
・サイドレール等を用い、ベッドから降りられなくする。
・行動を制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる。
・職員が自分の体で利用者を押さえつけて行動を制限する。
・行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に服用させる。
・自分の意志で開けることのできない居室等に隔離する。など
(4) 身体拘束を行う基準
  原則として、利用者個々の心身状況を勘案し、疾病・障害を理解した上で身体拘束等が行われない介護を提供する。ただし、以下の3要件をすべて満たした場合に限り、緊急やむを得ず必要最低限の身体拘束を行うことがある。なお、その場合であっても身体拘束等の実施の判断は組織的かつ慎重に行うこととする。

【やむを得ず身体拘束等を行う場合の3要件】
①切迫性 利用者本人または他の利用者などの生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
②非代替性 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替えする介護方法がないこと。
③一時性 身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。
 
(5) やむを得ず身体拘束を行う場合
  緊急的な措置としてやむを得ず身体拘束等を行う場合は、切迫性・非代替性・一時性の3用件全てを満たし、身体拘束適正化委員会を中心に慎重に検討判断を行い、利用者およびその家族へ説明し、同意を得て実施する。なお身体拘束等を行うにあたっては、その様態および時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項についての経過記録を整備すると共に、できる限り早期の拘束解除に努める。

2.身体拘束適正化委員会に関する事項
  株式会社スローステップでは、身体拘束等の適正化へ向けて「身体拘束適正化委員会」を設置すると共に、身体拘束等の適正化に関する責任者等を定めるなど必要な措置を講じる。
(1) 委員会の委員長は、総括管理者とする。
(2) 委員会の委員は、各事業所(居宅介護支援、訪問介護、福祉用具貸与)の管理者と総括管理者代理とする。
(3) 委員会は、管理者会議と合わせ定期的に開催する。また、身体拘束の事例等が発生した場合、委員が委員会を招集することができる。
(4) 会議の実施にあたっては、テレビ会議システムを用いることもできる。
(5) 委員会の審議事項は以下の通りである。
・本指針の変更・修正について
・身体拘束等を実施せざるを得ない場合の検討及び手続きについて
・身体拘束等を実施した場合の解除について
・身体拘束等の実施に至った状況分析および発生原因の分析
・身体拘束等の適正化のための職員研修の内容等に関すること

3.身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
 (1)身体拘束等の適正化のための研修は、虐待防止研修の中に身体拘束等の適正化の内容を盛り込んだ研修をすべての職員に対して定期的に実施する。
 (2)研修の開催は、年1回以上行う。
 (3)研修の実施内容については、出席者、実施概要、出席者等を記録し、その記録を保存する。

4.緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の対応
  利用者の生命または身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合は、以下の手順にて行うこととする。

(1) 委員会の実施
① 緊急やむを得えず身体拘束等を行う必要が生じた場合は、委員会にて、拘束による利用者の心身の損害や拘束をしない場合のリスクについて検討した上で「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要素すべてを満たしているかどうかについて確認する。
② 身体拘束等を行うことを選択した場合は、拘束の内容・目的・理由・時間帯・期間等について検討し、利用者およびその家族に対する説明・同意書を作成する。

(2) 利用者及び家族への説明
①利用者およびその家族に対し、身体拘束等の内容・目的・理由・時間帯・期間・解除に向けた取り組み方法の詳細を丁寧に説明し、同意を得ることとする。
②身体的拘束等の実施同意期限を越え、なお拘束を必要とする場合については、その理由を事前に利用者およびその家族へ説明し、再度同意を得た上で実施するものとする。

(3) 記録と再検討
身体拘束等に関する記録は義務付けられており、身体拘束等を行った場合は、拘束の方法、心身の状況・やむを得なかった理由および経過などを所定の様式を用いて記録し、身体拘束等の早期解除へ向けて拘束の必要性や方法を検討する。記録はサービス完結後5年間保管し、必要に応じて提示できるようにする。

(4) 身体拘束の解除
身体拘束を継続する必要性がなくなった場合は、速やかに身体拘束を解除し、利用者およびその家族に報告する。

5.身体拘束等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
 (1)身体拘束等が必要となる事案が発生した場合は、すべての事案を統括管理者に報告し、即時委員会を招集、開催し、検討を行う。
 (2)身体的拘束等を行う場合には、「4.緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合の対応」の手続きに基づき利用者家族に速やかに報告・説明を行い、充分な理解が得られるように努める。

6.利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
  利用者等はいつでも本指針を閲覧できるように、事務所内に掲示すると共に、ホームページにも掲載するものとする。

7.その他、身体拘束等の適正化の推進のために必要な事項
  「3.身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針」に定める研修の他、関係機関により提供される虐待防止(身体拘束等の適正化)に関する研修会等には積極的に参加し、利用者の権利擁護とサービスの質の維持・向上を図るように研鑽に努める。

附則
この指針は、令和4年4月1日より施行する。